企画を通すための資料であり、脚本チーム全員が同じ物語を語り続けるための資料でもあります。シリーズバイブル(作品全体の設定をまとめた資料)に何を入れるのかを、読み手が期待する順番どおりに並べました。そのまま埋められるテンプレートも付いています。
2026年9月更新
短い答え: シリーズバイブルは、作品を定義する参照資料です。ログラインと前提から始まり、世界観とトーン、キャラクターバイブル、物語を生み出すエンジンとシーズンの流れ、そして各話の構成へと続きます。企画を売る資料であり、シーズンをまたいで脚本チームの足並みをそろえる資料でもあります。
シリーズバイブル(ショーバイブルとも呼ばれます)は、テレビ企画の背骨になる資料です。映画は一本の脚本で決まります。シリーズは「何年も続けられる」と誰かに信じてもらわなければなりません。だから、パイロット版だけでは背負いきれない重さを、この資料が引き受けます。この人たちは誰なのか、毎週の物語はどこから出てくるのか、シーズンはどこへ向かうのか。買い手はこれを読んで制作を決め、脚本チームは何度もここへ戻ってきて、6人の書き手がひとつのビジョンに忠実であり続けます。
二役をこなすからこそ、シリーズバイブルは効きます。売る側面では、決裁する人が本当に気にしている唯一の問いに答えます。この着想には、長く続く燃料があるのか。制作の側面では、つながりを守ります。パイロット版で立てた人物の欲求は第9話でも成立しているべきですし、序盤に置いた世界のルールがシーズン半ばで静かに反転してはいけません。以下の手順は、ログラインから各話の一覧表まで頭から順に書ける、ショーバイブルのテンプレートになっています。
作品全体を含む最小の単位から始めます。ログラインです。主人公は誰か、シリーズを動かすエンジンは何か、中心にある緊張はどこにあるのか。この3つを一文で言い切ります。一文で言えないなら、読んだ人はそれを決裁者に伝えられません。
ログラインのあとに、一段落の前提を置きます。ここでレンズを広げます。誰に向けた作品か、どこが独特か、なぜ1シーズンで終わらないのか。長さは一段落で足ります。前提は約束であって、あらすじの要約ではありません。次のページをめくりたくさせるのが役目です。
読み手が登場人物に会う前に、その人たちが吸っている空気を知る必要があります。舞台と、そこを支配するルールを書いてください。組織、町、時代、人物を閉じ込めている仕組み。そのうえでトーンを言葉にします。冷たい捜査劇なのか、温かい群像コメディなのか、じわじわ焦げていくスリラーなのか。トーンは書き手のあいだで最も失われやすいので、平易な言葉で言い切ってください。役に立つなら近い作品を1〜2本挙げて、読み手が棚のどこに置けばよいのか分かるようにします。
キャラクターバイブル(登場人物の設定をまとめた部分)は、資料の心臓です。主要人物ごとに、短く正確な項目を用意します。伝記を書く場ではありません。ひとりにつき、次の4つを押さえてください。
主人公から書き始め、次にいちばん強くぶつかってくる人物を紹介します。知っていることを全部書きたくなる衝動は、こらえてください。読み手に必要なのは幼少期ではありません。それぞれが何を求め、何が立ちはだかるのかが分かれば十分です。引き締まったキャラクターバイブルは、のちに脚本チームの足並みをそろえる支えにもなります。ゲストの書き手が、一目で人物をつかまなければならない場面で効いてきます。
ここで機械そのものを見せます。作品のエンジンとは、毎話あたらしい物語を生み出す仕掛けのことです。新しい事件、新しい患者、新しい脅威、繰り返し圧力がかかる関係。これを率直に名指ししてください。前提とシリーズを分けるのは、ここです。物語が無理なく次々に届くと、読み手に信じてもらう必要があります。
続けて、シーズンの流れを描きます。シーズンはどこで始まり、真ん中でどう転換し、どこへ着地するのか。すべてのビートは要りませんが、形は要ります。このシーズンが立てる問いと、たどり着く答えです。作品に行き先があることを示す部分で、買い手がいちばん丁寧に読むところでもあります。
各話の構成は、約束を計画に変えます。まずパイロット版を詳しく、1〜2ページのビートシートとして書きます。オープニングの画、きっかけとなる事件、各幕の転換、そして第2話を見たくさせる締めのビート。エンジンが本当に回ることを証明するのがパイロット版です。ビートの組み立て方をもっと深く知りたいなら、脚本のプロットの書き方のガイドが、そのままパイロット版にも使えます。
シーズンの残りは、表に切り替えます。1話につき1行。ログラインを1つと、その回でシーズンの流れがどう進むかを1行。ここに完全なプロットは要りません。シーズンが崩れず立っていること、各話がその位置にふさわしいことが見えれば十分です。きれいなパイロット版と筋の通った一覧表を見た読み手は、この作品は成り立つと考えます。
バイブルは、一度書いて棚にしまう資料ではありません。脚本が届き始めた瞬間から、バイブルとページは少しずつ離れていきます。改稿で人物の欲求がずれる。一場面のために世界のルールが曲がる。一覧表で約束した回が、別のものに変わる。1シーズン、ひとつのチームを通して、この小さな滑りが作品の重心を失わせます。
ここは、道具が肩代わりできる部分です。Slimaでは、テレビが実際に動くとおりに作品を並べます。そのために別のアプリを開く必要はありません。シーズンごとにフォルダ、1話につき`.script`ファイルが1つ、シーズンの形を支えるビートボード、そしてバイブルは別文書ではなく脚本の隣にふつうのファイルとして置かれます。AI コーチがプロジェクト全体を読んでいるので、パイロット版で立てた人物が第9話で何を求めているのか、後半の稿にある細部が序盤の設定と食い違っていないかを尋ねれば、自分のページに根ざした答えが返ってきます。バージョン管理はすべての稿を残し、渡す段になればPDF、Word、Fountainに書き出せます。FountainはFinal Draftがそのまま開けます。どうつながっているのかはSlimaでの脚本の書き方で確かめてください。
『最終夜行列車』シリーズバイブル ログライン:1文。主人公、話を生み出すエンジン、中心にある葛藤 前提:1段落。誰に向けた作品か、どこが他と違うか、なぜ1シーズンで終わらないか 世界観とトーン 舞台と、そこを支配する規則:組織、町、時代 トーンは平易な言葉で。並べて置ける既存作品を1〜2本挙げる 登場人物(主人公から。ひとり1項目、短く) 麻里 — 欲望/欠点/関係/シーズンを通した変化 羽賀 — 欲望/欠点/関係/シーズンを通した変化 脇の人物:名前と、物語の中での役割を1行ずつ エンジン:毎話あたらしい物語を生むものは何か。はっきり書く シーズン1の流れ 開始地点:第1話の時点で何がどうなっているか 中盤の転換:何が壊れて、元に戻らなくなるか 着地点:このシーズンが立てた問いと、たどり着く答え 各話の構成 S1E01 出発 — 1〜2ページのビート表:オープニング、発端の事件、各幕の転換、締めのビート S1E02 信号 — ログライン1文と、この回でシーズンの流れがどう動くかを1行 S1E03 終着駅 — ログライン1文と、この回でシーズンの流れがどう動くかを1行 ……1話1行で、シーズンの最後まで 続いた場合:シーズン2と3がどこへ向かうかを2〜3行
Slimaでは、1本の作品がひとつのプロジェクトです。各話は`.script`ファイル、シーズンはビートボード、そしてバイブル、つまり人物・場所・世界設定のメモは、同じツリーに並ぶふつうのファイルです。そのすべてを読んだコーチも控えています。バイブルとページが離れていかないための構造です。脚本まわりの概要をご覧ください。
この順番で書けば、二役を同時にこなす資料ができあがります。最初のページから企画書として読め、チームが動き出した日からは参照資料として働きます。ログラインが売り、キャラクターバイブルが足並みをそろえ、シーズンの流れが安心させ、各話の構成が「これは実際につくれる」と証明します。
シリーズバイブル(ショーバイブル)は、シリーズを定義する参照資料です。ログラインと前提、世界観とトーン、キャラクターバイブル、シーズンの流れ、各話の構成が入ります。役割は2つあります。買い手に作品を売ること。そして、シーズンをまたいで脚本チーム全員が同じ物語を語り続けられるようにすることです。
売り込み用のバイブルは短いのが普通で、5〜15ページに収まることが多くあります。買い手に作品を欲しがらせるのが役目だからです。制作用や脚本チーム用のバイブルは、もっと長くなります。日々引く作業資料だからです。目的に合わせて書いてください。売り込みなら引き締めて説得力を、チームの足並みをそろえるなら詳しく正確に。
ショーバイブルのテンプレートは、順に次を押さえます。ログラインと一段落の前提。世界観とトーン。欲求・欠点・関係・アークを備えたキャラクターバイブル。作品のエンジンとシーズンの流れ。そして各話の構成(パイロット版は詳しく、残りはシーズンの一覧表で)。長い制作用バイブルには、前史、世界のルール、次シーズン以降のメモが加わります。
30分枠でも1時間枠でも、ほぼ必要です。決裁する人が買うのはパイロット版だけでなく作品全体なので、エンジンと登場人物、そしてシーズンの行き先を見たがります。脚本チームがパイロット版の脚本しか求めてこない場面でも、後ろにバイブルがあれば、「このあとどうなるのか」と聞かれたときの答えがぶれません。
計測を始める前に
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