Slimaで小説を書く

第30章を書きながら、 第6章を覚えている。

長編で本当に難しいのは、書き切ることではありません。9万字を越えたあとも、誰がどこにいて、何を約束して、目の色は何だったかを、まだ言えることです。

なぜ難しいのか

努力が足りないのではなく、 もともとそういう作業です。

1冊に1年かければ、記憶は壊れます。これは欠点ではなく、人の頭のふつうの働き方です。問題があるとすれば、壊れた分を道具が引き受けてこなかったほうです。

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覚えているのは、最近書いたところ

第6章に置いた伏線は3か月前のものです。忘れたのではなく、いまから遠すぎるだけです。

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本を分解したまま、組み直さない

多くの執筆アプリはフォルダと章をくれます。ただ、全部に目を通したものは1つもありません。設定資料も別のアプリに残ったままです。

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大きく直すと、戻れない

構成を動かしたいのに、いまの原稿が壊れるのが怖くて動かせない。動かさないまま、時間だけが過ぎます。

Slimaはどう受けるか

本に、 自分のことを覚えさせる。

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AIは全章を読んでいます

「ここで彼女は本当にこう言うだろうか」と訊けば、答えはあなたの作品の中から返ります。最後のページだけを見た当て推量ではありません。

矛盾は、読者より先に出てくる

章をまたいで突き合わせます。目の色が変わった、職業が入れ替わった、時系列が合わない。整合性チェックが場所を示します。走らせるかどうかはあなたが決めます。勝手に始まることはありません。

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設定も同じツリーの上に住む

関係マップ、世界地図、物語の年表、ビートボード。6種類のファイルが原稿と同じプロジェクトに並び、AIはその6種類とも読めます。

保存のたびに戻れる

バージョン履歴は無料プランにも付きます。AIが手を入れる前にはスナップショットが取られます。1ファイルだけ戻すこともできるので、本ごと巻き戻す必要はありません。

ビートボード。三幕が三つの列に分かれ、各ビートカードの下に対応する章と文字数が並びます。
『墨潮』の物語の骨組みです。カードは章に直接ひもづくので、第二幕がたるんでいるかどうかは感覚ではなく画面で分かります。
日本語の長編の現実

新人賞と投稿サイトでは、 求められるものが違います。

新人賞が見るのは、完結した原稿と、最後まで崩れない整合性です。投稿サイトが見ているのは、続きが来ること。同じ1冊でも、壊れる場所が変わります。連載では伏線が切れ、応募原稿では中盤がゆるみます。

AI ベータリーダーの注意曲線は、後者のためのものです。読者が何章目で離れるかを示します。下読みの手が止まるのも、たいていそのあたりです。

最初の1章は、 無料です。

無料プランで1冊と、6種類のファイルとバージョン管理が使えます。午後をひとつ使って、あなたの作品を覚えていられるか確かめてください。