Slima 4.0の執筆の歩みは、AIの書き込み、貼り付けと読み込み、AIへの相談を、それぞれ別の数として記録します。起きたその場で記録するので、申告欄を前にして半年前を思い出す必要がありません。作品が育つ様子を通しで見る創作再生、ある段落がどう書かれたかをたどる文字単位のリプレイ、読者に見せる公開歩みページと埋め込みバッジ、検証リンク付きの記録証明書もそろいました。どれも過程の記録であり、申告の根拠です。ある一文を誰が書いたかを判定するものではありません。
以下は、その違いがなぜ大事なのかという話です。
申告欄は、書き終わったずっとあとに来る
2026年9月1日から、小説家になろうは投稿作品にAI利用区分の申告を求めるようになりました。カクヨムにもKDPにも、聞き方と粒度は違いますが、同じ趣旨の欄があります。
やっかいなのは、その欄が原稿より半年遅れて現れることです。
プロットで詰まった夜に長い相談をしたのは覚えている。第三章の冒頭は、たたき台を出してもらってから全部書き直した気もする。取材メモをまとめて貼り込んだのは、たしか去年の春。そこまでは思い出せても、それが区分のどれにあたるのかを決めるための材料が、手元にひとつもない。
しかも間違う方向は二つあります。控えめに書きすぎれば、あとで問われたときに説明が立ちません。多めに書きすぎれば、自分で書いた作品を自分で値引きすることになります。どちらも、記憶から書き起こすせいで起きます。
三つの経路は、足しません
Slimaは執筆中、三つの経路を別々に数えています。AIの書き込み、貼り付けと読み込み、AIへの相談。それぞれ回数と文字数が独立して残ります。
ある作品の、ある一週間
足して一つの数にしないのには理由があります。三つは意味がまったく違うからです。
相談は、あなたが考えた跡です。AIに構成の穴を指摘してもらった夜が何回あっても、原稿の文字はあなたが打っています。貼り付けと読み込みは、取材メモかもしれないし、別のエディタで書いた自分の草稿かもしれない。AIの書き込みだけが、エディタの中に他人の文字が入った瞬間です。
これを合算して「この作品の何割があなたのものか」という一つの数字にしてしまうと、その区別が消えます。消えたうえに、出てきた数字は精密に見える。だからSlimaはその数字を出しません。作れないからです。
育つところを、通しで見る
執筆の歩みには再生機能が二つあります。
創作再生は、作品全体を時間軸に沿って通しで再生します。ファイルが増え、章が伸び、設定資料が枝分かれしていく様子を、早送りで眺めるようなものです。三か月かけて書いたなら、三か月分の伸び方がそのまま出ます。
文字単位のリプレイは、もっと寄った視点です。ある段落を選ぶと、その文章がどう組み上がったのかをコマ送りでたどれます。AIが書き込んだ部分は紫で示されるので、どこが自分の手で、どこがそうでないのかを目で確かめられます。
リプレイが対応しているのは、いまのところプレーンテキストの原稿だけです。脚本、世界地図、年表のような構造化ファイルは逐語のテキストではないので、対象外だと画面上でも明示しています。できないことを黙って隠さないほうが、記録としては信用できます。
資料をどれだけ作ったか
3.8.2で「参考資料の構築」が加わりました。その作品のために作った設定や世界観、メモがどれだけあるかを集計します。テキスト資料が何件で合計何文字か、いつから作り始めたか、関係図や世界地図や年表をいくつ持っているか。
ここに出るのは件数と種類だけです。ファイル名も中身も含みません。公開歩みページに載せるかどうかも切り替えでき、既定では非公開です。
申告の話をしているときにこれが効いてくるのは、区分がだいたい「作品のどこにAIが関わったか」を聞いているからです。半年かけて設定資料を積み上げてきた事実は、原稿本文の外にありますが、あなたの作業量の一部です。
読者に見せるか、審査に出すか
公開歩みページは、執筆の過程を読者向けに見せるページです。リンクをそのまま渡せますし、埋め込みバッジをプロフィールやブログに貼っておくこともできます。バッジはslima.aiに戻るリンクになっています。
記録証明書は、もっと形式的な用途向けです。公開検証できる創作記録の証明を発行でき、内容にはハッシュチェーンのアンカー(SHA-256)とサーバーのタイムスタンプが含まれます。Pro・Teamは全作品に含まれ、1冊単位で購入することもできます。
証明書は永続的で、取り消せません。取り消せないことが証明として成り立つ前提なので、そういう設計です。そのかわり、証明書について提供されるのは検証リンクだけです。
申告の手引きはレポートに内蔵されています。なろう、カクヨム、KDPがそれぞれ何を聞いているかを並べて対照できるので、同じ記録を三通りの言い方に直す作業が、そこで完結します。
公開しているものは、一覧で見えます
プライバシーセンターに「公開しているもの」があります。共有閲覧リンク、公開歩みページ、記録証明書がひとつのリストに並び、それぞれその場で開いたり取り消したりできます。証明書だけは前述のとおり取り消せないので、検証リンクの表示にとどまります。
公開ページと証明書に出る名前は、対外的な署名で設定したペンネームです。空欄にしておくとアカウント名が使われます。作品を共有するときも、実際に使われる名前がそのまま表示されるようになりました。
実際に申告欄を埋めるとき
流れはこうなります。その作品の執筆の歩みを開くと、いちばん上に数値カードが三つ並びます。AIの書き込み、貼り付けと読み込み、AIへの相談の、それぞれの回数と文字数です。その下が「保存ごとの文字数変化」で、どの保存で大きく増えたか減ったか、それがAIの書き込みなのか読み込みなのかが分かれて表示されます。棒をひとつ押せば、その日の保存ごとの明細が開きます。何時に保存して何文字増減したかまで出ます。計測されていない保存については、0ではなく「特定できない」と明示されます。その下が参考資料の構築です。
ここまで見てから申告の手引きに進みます。手引きはどの区分を選ぶべきかを決めてくれるものではありません。それはプラットフォームの規約とあなたの判断です。手引きがやるのはもっと小さいことで、「自分は結局なにをしたのか」という部分を、思い出す問題から見て確かめる問題に変えます。
できることと、できないこと
ここははっきり書いておきます。
これは過程の記録であり、申告の根拠です。ある一文が誰の手によるものかを判定するものではありませんし、判定できるとも言いません。
タイムスタンプを押しているのは私たちのサーバーであって、第三者機関ではありません。記録が示すのは、その作品が実際の時間をかけて、実際の修正を重ねて、いまの形になったということです。それは十分に強い材料ですが、それ以上でもありません。
だから申告欄の答えを決めるのは、最後まであなたです。Slimaが差し出せるのは、その判断に使える材料が、記憶ではなく数字として残っているという状態だけです。
各ファイル形式の使い方はこちら: ライティングスタジオ
