今日はv3.4.0を出しました。この版の主役は新しい書類、創作の証明書です。「これは人が書いたのか」が言葉のあやではなく、実際に投げかけられる問いになったとき——賞への応募、雑誌の編集部、納品の期日で——差し出せるものが要ります。ほかにも入っています。メモが伏線と回収を対にできるようになり、ToDoのチェックボックスを持ちました。作品全体から重複した文章をワンクリックで見つけられます。共同のレビューをひととおり直しました。そしてAIは、いつでも途中で止められます。
創作の証明書:人が書いたことを第三者に示す
今年の5月、映画芸術科学アカデミーが2027年のアカデミー賞に新しい規則を置きました。脚本賞に推薦できるのは実際の人が書いた脚本だけで、生成系のAIを使ったかどうかを調べる権利をアカデミーが留保する、というものです。ここに落とし穴があります。業界はすでに一つのことで一致しています。信頼できるAIの検出器は存在しない、と。検出が行き止まりなら、残る道は一つです。どう作られたかの、信じるに足る記録を持っていくこと。
それはSlimaが初日から集めてきたものです。書いたバージョンはすべて残ります。どのスナップショットにも戻せます。この時系列そのものが、一語ずつ育てた証拠になります。その時系列が、ワンクリックで一つの書類になりました。
- 作る場所:ライティングスタジオの書き出しメニュー、または脚本スタジオの納品ページにあります。
- 中身:バージョン履歴に沿った創作の時系列、文字数の伸びの曲線、バージョンと手動のスナップショットの内訳、書いた日数、最終稿の文字数、そしてAIとのやり取りの回数。作品が実際にどう出来上がったかを、読む人のために並べます。
- 名前を添える:作る前に創作についての一文を書き、自分で署名できます。署名は書類の中に入ります(サーバーには保存しません)。
- PDFで印刷:この書類は印刷できるウェブページです。ブラウザの印刷 → PDFに保存で、そのまま渡せるファイルになります。
はっきり書いておきます。創作の記録は有力な証拠ではありますが、決定的な証明ではありません。この書類は、示せることと示せないことについて正直で、こちらが勝手に大きく言うこともしません。なぜこれが要るのか、どこに限界があるのかは「これは人が書いたのか」が本当の問いになるときを読んでください。手順は創作の証明書を作るにあります。
メモの強化:分類、チェックボックス、伏線と回収の対
ライティングスタジオのメモに、この版で構造が付きました。
- メモを分類できます:何のためのメモかで分けられます。一つの山に積み上げずに済みます。
- ToDoのメモにチェックボックス:終わったら消せます。チェックするとタイトルに取り消し線が入り、片付けた人の署名も出せます。原稿のすぐ横に置ける軽い進捗の一覧です。
- 伏線と回収の対:「伏線」のメモと「回収」のメモを一本の線として対にできます。パネルがまだ回収していない線を教えます。まいて忘れるのは、長い作品でいちばんよくある穴です。Slimaが代わりに覚えています。
脚本の企画で、AI コーチがメモを書けるようになりました
脚本スタジオのデスクトップの企画ページに、AI コーチの入口ができました。
コーチはもともと構造化されたメモを読めました。この版ではもう一歩進んで、話しかければメモの内容を作り、書き換えられます。頭の中に半分だけある世界設定を口で説明して、「これをメモにする」という散らかった部分をコーチに渡せます。
文字起こし(.srt)の読み込み:話した言葉を持ち込んで書き直す
話すところから始まる物語もあります。講演、取材、口述。そのままSlimaに持ち込めるようになりました。
.srtの字幕ファイルを読み込むと、Slimaがタイムコードを取り除き、話者のラベルは残し、切れ切れの字幕の行を段落にまとめます。落ちてくるのは読める下書きです。あとはエディタで、本に書き直していきます。
作品全体の重複をスキャン:二度書いた文章を見つける
長く書いていると、同じ比喩、同じ心内語の運びが、気づかないうちに別の章にも入り込みます。
章の分析のパネルの上部にボタンができました。作品全体をスキャンしてよく似た文章を並べ、押すと元の場所へ飛びます。重なりを見つけて、削るか書き直すか。作品全体がすっきりします。
共同作業とレビューをひととおり直しました
- 「共同作業者」の入口:エディタから、メールで編集者や書き手を作品に招けます。チームのオーナーはメンバーの役割(書き手 ↔ 編集者)をいつでも変えられます。
- 採用した提案が正しく入ります:修正案を採ると、本文にきちんと反映されます。
- 黙って消えません:提案が指している元の文が見つからないとき、勝手に解決済みにしません。そう伝えます。
- コメントの解決を誤読しません:コメントだけの糸を「解決済み」にしても、「却下」として記録されなくなりました。
- モバイルでは他人の修正が読み取り専用に:携帯で他の人の修正を見るとき、エディタが正しく読み取り専用になるので、触れてしまっても変わりません。
AIを途中で止める
- 会話をいつでも中断:AIが話している最中でも、「停止」を一度押せば切れます。AIがツールを続けて呼び出す多段の処理でも止まります。
- 詰まったら自分で退きます:AIが同じ動作を繰り返して抜けられなくなったとき、自分で止まって理由を説明します。回りつづけてクレジットを燃やすことはありません。
- 章の分析も止められます:AIが章を分析している途中(緩急、セリフなど)でも、全部終わるのを待たずに「停止」できます。
そのほかの修正
- ファイルツリーの「追加」メニューが隠れません:フォルダーを全部開いてファイルが長く並んでいても、「追加」から出る「新規ファイル / 新規フォルダー」が今日の文字数の裏に隠れたり切れたりせず、前面に浮いて押せます。
- エディタの「··· その他」メニューが反応します:コード、区切り線、Markdownとして貼り付け、スペルチェック、半角から全角の約物。押せばちゃんと動きます。
- ファイルをまとめてドラッグ:複数選んでフォルダーにまとめて入れられ、同じように外へ出せます。
- 手動同期のボタンを修正:エラーになりません。手元の変更をきちんと送ります。
- 脚本スタジオのゴミ箱が空のままになりません:消したシーズンや話数が正しく出て、正しく戻せます。
- オンボーディングの文字を大きく:読みやすくなりました。
次に来るもの
創作の証明書は出発点です。「人が書いた」を示す機会がこれから増えていく以上、この道をもっと確かで、もっと信じられるものにしていきます。また次回。