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「執筆の歩み」の作り方:AI利用の申告に添える記録を出力する

T Tim · June 30, 2026 · 約5分で読めます

いま書いている作品を開いて、バージョン管理のパネルを出してください。バージョンがいくつ並んでいますか。その数が、あとで「これは人が書いたものですか」と聞かれたときに手元にある材料の量です。2026年9月1日から、小説家になろうは投稿作品にAI利用区分の申告を求めています。カクヨムにもAmazon KDPにも、それぞれ別の設問があります。申告に答えること自体は数十秒で終わります。困るのは、その申告の裏づけを見せてほしいと言われたときです。Slimaの執筆の歩みは、そこで出せる一枚になります。バージョン履歴から組み立てた、印刷して渡せるレポートです。この記事では、それを作って、署名を入れて、封筒に入れられる書類にするところまでを追います。

証拠がどこから来ているのか

執筆の歩みは、どこからともなく湧いてくるものではありません。読んでいるのは、その本のバージョン履歴です。

書いているあいだ、Slimaは自動でスナップショットを残します。区切りのいいところで、自分の手で残すこともできます。自動保存の分は時間が経つとまとめて圧縮されていきますが、手で撮ったスナップショットは残り続けます。最初の一文字から完成稿までのこの軌跡が、レポートの材料です。

ここから条件が1つ出てきます。バージョン履歴のない本からは、執筆の歩みは作れません。あとから振り返って作れる記録ではない、ということです。ある作品の裏づけに使うつもりなら、最初からSlimaの中で書いてしまうのが確実です。残った過程が厚いほど、レポートは重くなります。厚くする方法は最後にまとめます。

手順1:入口を見つける

入口はライティングスタジオのエクスポートメニューの中にあります。開くと「執筆の歩み」が並んでいます。

  • 小説を書いている場合:.md原稿のどれを開いていても、入口は同じです。レポートは本の単位で作られます。
  • 脚本を書いている場合:4.0から脚本はファイルツリーの中の.scriptファイルです。別の場所に移る必要はなく、入口は同じエクスポートメニューです(レイアウトは台湾式とハリウッド式の2つで、日本式の柱書きには対応していません)。

押すと、Slimaが本のバージョン履歴を最後まで読んで、その場でレポートを組み立てます。順番待ちも、通知を待つ時間もありません。押した瞬間に見えます。

手順2:レポートが何を言っているのかを読む

解読が必要な数字の壁ではありません。「この本がどう育ったか」をいくつかに分けて見せる作りで、それぞれが審査する側の疑問に対応しています。

  • 上段のサマリー:バージョン数、手動スナップショット、執筆日数、最終稿の文字数、AIとのやり取りの回数。この本が何日にまたがり、何回分の版が積み上がったのかが一目で分かります。
  • 文字数の伸び:字数がどう増えていったか。人が書いた線はでこぼこします。乗った日もあれば、止まった日もあり、書いた分をまるごと削った日もあります。この歪んだ線に意味があるのは、きれいな右肩上がりよりも、実際の推敲の形に近いからです。
  • 制作のタイムライン:バージョンが一つずつ並び、手で撮ったスナップショットか、システムが残したものかが分かるようになっています。
  • AIの利用記録:記録される経路は3つです。「AIが書いたもの」「貼り付けと読み込み」「AIへの相談」。それぞれ何回あったか、どの機能を通ったのかが並びます。一度も使っていなければ、この欄には記録なしと出ます。なお、ここに「人間が何%、AIが何%」という1つの数字は出ません。3つの経路を、あったまま並べるだけです。

手順3:名前を書く(任意ですが、やる価値があります)

数字が言えるのは半分までです。残りの半分は、自分の言葉で言う必要があります。

レポートを作る前に、作者の声明を書いて、署名を添えられます。何を書くかは自由です。よくあるのは「本作は本人が執筆し、AIは補助として使いました」くらいの一文でしょうか。声明も署名も出来上がったレポートに埋め込まれますが、入るのは書類の中だけです。Slimaのサーバーには送られません。

なぜ署名を勧めるのか。客観的な数字の束が、名前を出した人が背負う約束に変わるからです。受け取る側にとって、この差は思ったよりも効きます。数字だけのレポートは「そう見える」で止まりますが、署名が入ると「本人がそう言っている」になります。投稿サイトの申告欄に自分で答えるときも、同じ文面を使い回せます。

手順4:PDFにして渡す

レポートは組版済みの、印刷できるWebページです。

ファイルにするのは簡単で、開いたページからブラウザの「印刷 → PDFとして保存」を選べば終わりです。あとは普通の書類と変わりません。メールに添付する、投稿フォームに上げる、好きにできます。

正直なところ:何を示せて、何を示せないか

このレポートは、何かを免れるための切り札ではありません。持ち上げすぎると、いちばん損をするのは自分です。

執筆の歩みは強い材料ですが、決定的な証明ではありません。示せるのは、この本が実際の時間の中で、実際の改稿の連なりを通って形になったことです。示せないのは、書き手の意図です。時刻もSlimaのサーバーが記録したもので、外部の第三者機関が立ち会ったものではありません。この線引きはレポート自身が書いています。話を大きくしてはくれません。

そして、これは「AIを使っていない」ことを示す書類ではありません。示すのは、どう書いたかの記録です。裁判に例えるなら、結審の弁論ではありません。筋の通った証拠物のほうです。価値は単純で、誰かに聞かれたときに、確かめられて、あとから作るのが難しい説明を出せます。この話がなぜ今きいてくるのかは、「これは人が書いたものですか」が本当の問いになるときで扱っています。

記録を厚くする3つの習慣

同じ本でも、薄いレポートになる人と、厚いレポートになる人がいます。差が出るのは、たいていこのあたりです。

  • 区切りで手動スナップショットを撮る:一章書き終えた、大きく直した。そこで手を止めて、説明を一行付けてスナップショットを残します。手動のスナップショットはタイムラインで目立ちます。意識して前に進めた跡として読めます。
  • できるだけSlimaの中で書く:書き上げた原稿をまとめて貼り込むと、タイムラインには版が1つしか立ちません。貼り付けは「貼り付けと読み込み」として正直に記録されるので隠す必要はありませんが、それだけでは過程が残らないのです。過程を残したいなら、書く行為そのものがここで起きている必要があります。
  • 早く始める:タイムラインが長く、またぐ日数が多いほど説得力が出ます。3か月かけて書いた本と、3日で埋まった本では、同じ文字数でもタイムラインの見え方がまったく違います。この作品はいつか裏づけを求められそうだと思ったら、初日からバージョン履歴を回した状態で書き始めてください。

投稿サイトが申告欄を用意したということは、「どう書いたか」を自分の言葉で説明する場面がこれから増えるということです。いちばん地に足のついた準備は、今日から、書き方の記録をきちんと残しておくことになります。

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