AIに原稿の相談をしている時間の大半は、書くことにも考えることにも使われていません。貼り付けに使われています。キャラクター設定をチャット欄に貼り、第8章を貼り、それでようやく「この2つは矛盾していませんか」と聞ける。午後がまるごと消えて、動かしたのは文字の位置だけ、ということが起こります。
理由ははっきりしています。**AIはあなたの本を丸ごと見ることができません。**手渡された断片しか見えていないからです。Slima MCPは、その一点だけを解きます。一度つないでおけば、AIがSlima上の本を直接読み書きします。貼り付けは要らなくなります。
この記事は入れ方から始めます。方法を順に見て、最後に実際の使い方を並べます。
MCPとは。 Model Context Protocolの略で、AIの道具が外部のサービスと直接データをやり取りするための公開仕様です。AIにとってのUSBだと思うと近いです。MCPに対応した道具なら、Slimaに挿して本を読み書きできます。
どの入れ方を選ぶか
| ふだんのAIの使い方 | 選ぶ入れ方 |
|---|---|
| ブラウザやスマートフォンでclaude.aiやChatGPTを使う | ⭐ Webコネクタ(設定は一度きり、更新は自動、トークン不要) |
| パソコンでClaude Desktop / Cursor / Gemini CLIを使う | ローカルにnpxで入れる |
| 社内・オフライン環境 | 自前で立てる(上級者向け) |
いちばん楽なのは一つめです。スマートフォンで書くことがあるなら、なおさらです。
方法1(おすすめ):claude.aiまたはChatGPTのWeb版からつなぐ
ブラウザやスマートフォンのアプリでClaudeやChatGPTと話しているなら、これが最短で、いちばん長持ちします。**設定は一度きりで、以後のSlima MCPの更新は自動で反映されます。**コマンドも設定ファイルも触りません。
必要なのはURLが1つだけです。 https://mcp.slima.ai/mcp
claude.aiからつなぐ(いちばん手軽な道)
- claude.aiにサインインします。
- 左のサイドバーで**Customize(カスタマイズ)→ Connectors(コネクタ)**を開きます。
- コネクタ一覧の右上で**「+」→ Add custom connector**を押します。
- 入力するのは2か所だけです。
- Name:
Slima - Remote MCP server URL:
https://mcp.slima.ai/mcp - OAuth Client ID/Secretは空のままにします。
- Name:
- Addを押すとslima.aiの承認画面に移ります。承認するとclaude.aiに戻ります。
- チャット欄の横にSlimaの道具アイコンが出たら完了です。
Webコネクタはclaude.aiの有料プランで使えます。設定画面は英語表示なので、上の英語の項目名でそのまま探してください。
ChatGPTのWeb版からつなぐ
- chatgpt.comにサインインします。
- Settings → Connectors → Advancedを開き、**Developer Mode(開発者モード)**をオンにします(2025.10以降のバージョン)。
- Connectorsに戻り、Create → Custom MCP Serverを押します。
- 次を入力します。
- Name:
Slima - Server URL:
https://mcp.slima.ai/mcp - **Authentication:**OAuth
- Name:
- Createを押して、OAuthの承認を終えます。
これで次の会話からSlimaの道具が出てきます。再起動も入れ直しも要りません。
方法2:ローカルにnpxで入れる(Claude Desktop / Cursor / Gemini CLI / VS Code)
デスクトップアプリのほうが手に馴染む。起動を速くしたい。ほかのローカルMCPサーバーと並べて使いたい。そういうときはこちらです。やることはどの道具でも同じで、npxにslima-mcp@0を起動させるだけです。
認証は最初に一度だけ済ませます(ログイン情報がローカルに保存されます)。
npx slima-mcp@0 auth
ブラウザが開いて、Slimaアカウントでのサインインに案内されます。認証情報は~/.slima/credentials.jsonに入ります。あるいはSlima設定 → APIトークンでトークンを発行し、設定ファイルのSLIMA_API_TOKENに書いても構いません。
Claude Desktop
claude_desktop_config.jsonを編集します(macOSは~/Library/Application Support/Claude/、Windowsは%APPDATA%\Claude\)。
{
"mcpServers": {
"slima": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "slima-mcp@0"],
"env": { "SLIMA_API_TOKEN": "slima_your_token_here" }
}
}
}
Claude Desktopを再起動します。チャット欄の横に道具アイコンが出れば、つながっています。(すでにauthを済ませていれば、envのブロックは省けます。)
Cursor
プロジェクトの直下に.cursor/mcp.jsonを作り、中身は上のClaude Desktopと同じにします。Cursorが自動で見つけて、必要になったときに起動します。
Gemini CLI
1行です。
gemini mcp add slima --command "npx -y slima-mcp@0"
VS Code
.vscode/mcp.jsonを作ります。
{
"servers": {
"slima": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "slima-mcp@0"]
}
}
}
⚠️ VS Codeが読むキーは**servers**です。mcpServersと書くと動きません。ここでいちばん多くつまずきます。
slima-mcp@0と書く理由。@0は今のメジャーバージョンに固定する書き方です。npxは新しい0.xを自動で取ってくるので機能も修正も追いつきますが、いつか破壊的な変更を含む1.0が出たときに、黙って上がってしまうことはありません。グローバルに入れたい場合。
npm install -g slima-mcpでも動きます。ときどきnpm install -g slima-mcp@latestを走らせて、手元のバージョンがSlima側の道具と離れないようにしてください。
認証と安全性
npx slima-mcp@0 auth— ブラウザでサインインします(おすすめ)npx slima-mcp@0 status— いまの認証状態を確認しますnpx slima-mcp@0 logout— 保存した認証情報を消します
WebコネクタはOAuthで動くので、トークンを手でコピーする場面がありません。承認はSlimaの設定からいつでも取り消せます。ローカルのトークンは~/.slima/credentials.jsonに、OSの権限で保護された状態で置かれます。Slima MCPが触れるのは承認したアカウントの本だけで、AIが読み書きするのは指示したときだけです。
道具は3つのグループに分かれます
本の管理
create_book:新しい本を作る · list_books:本の一覧 · get_book:本の情報 · get_book_structure:ファイルツリーを丸ごと取る(全体像が入るぶん、以降の操作の精度が上がります)· get_writing_stats:執筆の統計。
ファイル操作
read_file / get_chapter:読む(いちばん使います)· write_file:上書き · edit_file:狙った箇所だけ置換 · create_file:新規作成 · delete_file:削除 · append_to_file:末尾に追記 · search_content:全ファイルを横断する全文検索(整合性を保つ道具はこれです)。
AI ベータリーダー
list_personas:読者人格の一覧 · analyze_chapter:選んだ人格に章をまるごと読ませる。
補足。
write_file、edit_file、append_to_file、delete_fileが扱うのは原稿です——.md、.markdown、.txt。構造化された型にはそれぞれ専用のフィールド単位の道具があり、一度に一か所ずつ直します:.beats→update_beat_board、.timeline→update_timeline、.script→update_script、.map→update_relationship_map、.geomap→update_world_map。これらへの書き込みには有料プランが必要で、読むだけなら不要です。create_fileは例外で、構造化ファイルには形の正しい空のファイルを作り、送った内容は無視します。先に作ってから道具で埋めてください。脚本スタジオ(旧版)の構造化ファイル(シーン、登場人物、ストーリーラインなど)は、MCPからは読み取りだけのままです。中身を直すときはSlimaのアプリを開いてください。
上の3つのグループは毎日使うものであって、全部ではありません。正式な一覧は
get_capabilitiesが返します。なお脚本のレイアウトは台湾式とハリウッド式の2つで、日本式の柱書きには対応していません。
実際の使い方
1. 書き始めの日
「この本の構造を見せて、昨日書いた最後の章を読んで」。AIはget_book_structureとread_fileを続けて走らせ、文脈を揃えたうえで、昨日どこで止まったか、大綱では次に何が来るかを伝えます。
2. キャラクターの整合性を見る
「老執事が出てくる段落を全部探して」。search_contentが並べてくれます。第3章では嘘はつかないと言い切っているのに、第10章では明らかに何かを隠している。仕込んだ伏線か、書き手の取り違えか。どちらにしても、いま見つかりました。
3. 改稿(AI ベータリーダーに読ませる)
「ペース分析の人格で第1章を読んで」。analyze_chapterが、テンポ、緊張、キャラクターの変化について返します。そのあと「第3段落の長すぎる場面を詰めて」と言えば、edit_fileがその部分だけを書き換えます。ほかは1文字も動きません。
4. 世界観の整理
「魔法の規則に触れている段落を全部探して、世界観フォルダに1本の参照ファイルとしてまとめて」。search_content → read_file → create_fileの順に走って、散らばっていた断片が1か所に集まります。
5. 取材の重い作品(時代物、お仕事小説)
歴史、土地、職業を扱う話は、取材メモ、インタビューの書き起こし、場所の資料がすぐ積み上がります。Slimaのフォルダに入れてしまえば、こう聞けます。「第6章の法廷の場面を『取材/裁判手続き.md』と突き合わせて、合っていないところはある?」。あるいは「インタビューのメモから港湾作業の細部を抜き出して、場面用の参照にまとめて保存して」。AIが取材ファイルを直接読み、ファイルをまたいで突き合わせ、事実を本文に戻します。考証を記憶に頼らずに済みます。
6. 外出先、スマートフォンから
Webコネクタはクラウド側で動いていて、ローカルの設定が要りません。**スマートフォンのclaude.aiアプリからそのまま使えます。**通勤電車の中、列に並んでいるあいだ、喫茶店。思いついたら「第8章の最後の場面を読んで、続きの案を3つ出して」「このセリフを『アイデア.md』の末尾に足して」と言うだけです。机に戻ってSlimaを開くと、もう同期されています。スマートフォンは拾って広げる係、パソコンは本文を書く係。あいだでファイルを送り合う手間がなくなります。
よくある質問
内容がほかの人に見えることはありますか。 ありません。MCPが触れるのは承認したアカウントの本だけです。AIが読み書きするのは指示したときだけで、勝手に外へ出すこともありません。
読むだけにして、書き換えさせないことはできますか。 できます。最初に「今日は読むだけ」と伝えておけば、読み取り系の道具(read_file、search_content)しか使いません。
設定したのに道具が反応しません。 ローカルに入れた場合、原因はほとんどJSONの書式です(余分なカンマ、閉じ括弧の抜け、全角の引用符)。検証ツールにかけてから、npx slima-mcp@0 statusで認証を確認してください。Webコネクタなら、URLがhttps://mcp.slima.ai/mcpになっているか、承認を最後まで終えたかを見てください。
スマートフォンにNode.jsを入れる必要はありますか。 ありません。スマートフォンではWebコネクタ(claude.aiやChatGPTのアプリ)を使うので、コマンドラインには一度も触れません。
ツールごとの詳しい話
ここまでは、つなぎ方と、つないで何ができるかの話でした。あるツールが何を受け取るのか、なぜ書き込みが断られたのかを調べたくなったら、ヘルプセンターに一節あります。
3分の設定で、作業の形が変わります
いちばん短い道はこれです。claude.aiのCustomize → Connectorsを開き、カスタムコネクタを追加し、URLにhttps://mcp.slima.ai/mcpを入れて承認する。これで終わりです。あとは机の前でもスマートフォンでも、「昨日どこまで書いたか見せて」と言えば、AIが自分で本を読みに行きます。
時間は物語に使うものです。貼り付けに使うものではありません。