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脚本の要素の種類
最終更新 September 9, 2026 · 約6分で読めます
ひとことで:
.scriptファイルの6種類の行が何で、どう指定するのか、そして「まず種類、あとで組版」がスペースキーより頼れる理由です。

なぜ組版ではなく種類なのか
脚本の組版の作法は厳しいものです。人物名は中央に大きく、セリフは一段下げ、転換は右端に寄せる。もしその位置をスペースキーで作っていたら、書式を変えるたびに全体を組み直すことになり、PDFにしてからもう一度確かめ直すはめになります。
そこで.scriptファイルは組版を持ちません。持っているのは種類だけです。1行1行が「自分はセリフだ」と覚えていて、どれだけ下げるか、大文字にするか、紙のどこに置くかは書式が決めます。書式を変えれば、原稿には1文字も触らずに紙面のほうが変わります。編集画面で各行の左の余白にある2文字(AC/CH/DL/()/TR)が、その行の種類です。
六つの種類
| 種類 | 何を書くか | 『墨潮 ―ぼくちょう― 脚本』の例 |
|---|---|---|
| ト書き | カメラの前で見え、聞こえること | 日暮れ。店先。顧遂が墨を棚に仕舞い、錠を下ろす。 |
| 人物名 | 次のひと言を言うのは誰か | 沈硯 |
| セリフ | その人が言うこと | 十二枚。百四十四文です。 |
| 括弧書き | そのひと言をどう言うか | (ごく小さく) |
| 転換 | シーンとシーンのつなぎ方 | CUT TO: |
| ショット | 指定したショット。種類+内容 | 特寫:反故に三つの字。沈拙言。 |
ト書きに書くのは見えるものだけです。人物が心のなかで考えていることは入りません。観客には見えないので、セリフか動きで演じてもらうしかありません。
**柱はこの六つに入っていません。**柱はシーンの単位の項目(内/外、場所、時間帯、注記)で、各シーンの上の行に住んでいます(柱)。
**「インサート」も七つめの種類ではありません。**ショットの11種類のうちの一つです。
種類の指定のしかた
書きながら種類は自分で決めます。打っている途中にSlimaが勝手に分類することはありません。
| やり方 | 説明 |
|---|---|
Enter/Tab |
書式に応じて次にふさわしい種類へ(EnterとTab) |
Ctrl+1〜5 |
ト書き、人物名、セリフ、括弧書き、ショット |
空行で/ |
コマンドメニュー:要素、すばやく挿入、新しいシーン、メモ |
| シーンのいちばん下の位置 | 転換を足す(1シーンに一つ。ト書き・転換・ショット) |
Slimaが自分で判断するのは読み込みのときだけです。Fountainや脚本のファイルを取り込むと、INT./EXT.で始まる行は柱になり、短い大文字の行は人物名になります。編集画面に入ったら、決めるのはあなたです。
それぞれの組み上がり
同じシーン、同じ中身を、二つの書式で:
| 種類 | 台湾式 | ハリウッド式 |
|---|---|---|
| ト書き | △を先頭に、左寄せ |
左寄せ、先頭に記号なし |
| 人物名+セリフ | 1行にまとめる:沈硯:十二枚。 |
人物名は中央・大文字、セリフは中央寄りの一段下げ |
| 括弧書き | ▲(ごく小さく) |
(ごく小さく)。人物名とセリフのあいだに下げて |
| 転換 | 行末の側に寄せる | 行末の側に寄せる |
| ショット | ▲ 特寫:反故に三つの字 |
CLOSE ON — 反故に三つの字 |
台湾式の△と▲は書式の設定で消せます。台湾式で人物名と次のセリフを1行にまとめるのは台湾の対白本の慣例です。2行に分けると、かえってハリウッド式に見えてしまいます(書式の切り替え)。
人物名の行にある二つの小さな仕掛け
人物名の行は、ただの名前ではありません。
- **修飾のバッジ。**その行にカーソルがあると名前のうしろに薄い
(+)が出ます。押すとV.O.→O.S.→CONT'D→なしを順に回ります(台湾式では畫外音/畫外/續と印字)。バッジに見えている字が、そのまま書き出しに出ます。 - **同じ名前のファイルとの結びつき。**この作品の
.mdファイルと名前が一致すると破線が出て、Ctrl/Cmd+クリックでそれが開きます。
どちらもセリフと人物名の補完で扱っています。
空行と余白
空のト書きの行は、**△だけがぽつんと印字されることはありません。**空行は空行のままです。文字の入っていない転換の位置も1行を取りません。だから息継ぎのために行をあけて構いません。紙に余計な記号は出ません。
構造化されたファイルなので、AIは項目単位でしか触れません
.scriptは構造化ファイルです。AIはファイル全体を上書きできず、項目単位の道具で1シーンの柱や1行の文字を直すことしかできません。その提案はその場に破線のカードとして現れ、あなたが取り入れるか見送るかを決めます。種類が大事なのはここでもです。AIが動かすのは「第3シーン7行目のセリフ」で、ひとかたまりの文章ではありません。
関連
- Docs:EnterとTab:要素の流れ
- Docs:柱
- Docs:セリフと人物名の補完
- Docs:ト書き・転換・ショット
- Docs:書式の切り替え:台湾式とハリウッド式
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