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ト書き・転換・ショット

最終更新 September 10, 2026 · 約7分で読めます

ひとことで:セリフ以外の三つの行――ト書き、転換、ショット――の書き方と、11種類のショットのそれぞれの使いどころです。

『墨潮 ―ぼくちょう― 脚本』第04話の1シーン、台湾式。ト書きの頭には △ が付き、いちばん下がショット行です。左の種類ボタンは台湾式のラベル「特寫」と ▾、右が内容欄。その下、シーンの足元にある転換スロットはまだ空で、グレーの「転換…」と ▾ のまま——未入力の転換は行を取らず、プレビューにも書き出しにも出ません。

ト書き

ト書き(編集画面ではACと表示)に書くのは、カメラの前で起きることです。

入るもの:人物の動き、姿勢、顔つき。場所のふるまい――光、音、動いている物。
入らないもの:人物が考えていること。観客に思考は見えないので、セリフか動きで演じてもらうしかありません。

日暮れ。店先。顧遂が墨を棚に仕舞い、錠を下ろす。鍵を手のなかで少し弾ませる。

沈硯が計算台の外に立っている。袖口に墨。

外では、書肆の通りが戸板を一枚ずつ下ろしていく。

台湾式では、ト書きの1行ごとに先頭に△が印字されます。台湾の対白本の慣例なので、要らなければ書式の設定で消せます。ハリウッド式には先頭の記号がありません。

**空のト書きの行に△だけが印字されることはありません。**空行で息継ぎを作っても安全です。

ト書きの行でEnterを押すと、またト書きになります。これは意図したものです。動きはひとかたまりずつ届くほうが読みやすく、1段落に1つの動きが基本です。人物名にしたいときはTabを押してください。

転換

転換はシーンとシーンのつなぎ方です。ほかの要素とふるまいが違います。1シーンにちょうど一つ、そしてそのシーンのいちばん下に固定されています。

ふだんその位置には灰色の案内が1行あるだけです。使うには:

こうする こうなる
案内の文字を押す 空の転換ができ、自分で入力できます
隣の▾を押す よく使う転換の一覧が開き、選ぶと入ります
入っている状態で▾を押す 別のものに替える、または「転換なし」で消す

一覧は書式で変わります。

書式 一覧
ハリウッド式 CUT TO:、FADE OUT.、FADE IN:、DISSOLVE TO:、MATCH CUT TO:、SMASH CUT TO:、TIME CUT:、INTERCUT:、JUMP CUT TO:
台湾式 CUT TO:、FADE OUT.、DISSOLVE TO:

一覧はすばやく入れるためのものです。文字そのものは自由なので、必要なものを打って構いません。

**文字の入った転換でEnterを押すと新しいシーンができます。**前のシーンが終わり、カーソルは新しいシーンの1行目に落ちます。これはシーンの分割とは別のことです。あちらは一つのシーンを二つに切るもので、こちらは自然に次のシーンへ書き進めるものです。

文字の入っていない転換の位置は**1行を取りません。**プレビューにも書き出しにも出てきません。

書きかたの節度:CUT TO:は既定のつなぎなので、書かなくても同じように読まれます。すべてのシーンに転換をぶら下げると、脚本がショットリストのように読めてしまいます。ほんとうに示す必要のあるところに残してください。ひと区切りを閉じるフェード、時間の経過を表すディゾルブ、二つの場所を切り返すことを宣言するINTERCUT:。

ショット

ショットは**構造を持っています。**種類と内容の二つです。空行で/を打って「ショット」を選ぶか、Ctrl+5を押すと、2つの部分からなる行が出ます。

  • 左は**種類のボタン。**押すと11種類の一覧が開きます。各行にはもう一方の書式での言い方も並ぶので、見比べられます。
  • 右は**内容の欄。**そのショットが何を写すのかを書きます。空でも構いません。

印字されるかたち:ハリウッド式はCLOSE ON — 反故に三つの字、台湾式は▲ 特寫:反故に三つの字。台湾式の▲はト書きの△と同じように消せます。

11種類のショット

ハリウッド式の表記 台湾式の表記 使いどころ
INSERT 插景 物や細部に切り込む
CLOSE ON 特寫 何か、あるいは誰かに寄る
ANGLE ON 角度 同じものを別の角度から
POV 主觀鏡頭 ある人物の目から見た画
MEDIUM SHOT 中景 中景。人も部屋も入る
WIDE SHOT 遠景 全体の構図を見せる
EXTREME CLOSE UP 大特寫 極端に寄って一部だけ
BACK TO SCENE 回場景 インサートのあと本編のシーンに戻る
TRACKING SHOT 追蹤鏡頭 カメラが動きについていく
SERIES OF SHOTS 連續鏡頭 短いショットの連なり
MONTAGE 蒙太奇 モンタージュ。時間の流れや感情の積み上がり

一覧は11種類で固定です。増やすことはできません。表記は書式に従って変わり、データそのものは動きません。同じ行が台湾式では特寫、ハリウッド式ではCLOSE ONになります。

插景(インサート)はこの11種類のうちの一つで、別の要素の種類ではありません。役目は「物に切り込む」ことです。

1. 内 佑安書房 夜(二階の写本部屋)

沈硯が写し終えた頁を横に置く。

▲ 插景:油布の包み。縄の端が外を向いている。

眉をひそめる。

ショットが多すぎると、脚本がショットリストになってしまいます。脚本の世界では概して勧められません。三つの場合に残してください。そのショット自体が物語の意味を持つとき(敵役の目の寄り、主人公の死角を見せる主観ショット)。視覚の笑いやサスペンスがそれなしには成り立たないとき。あるいは監督とすでに話し、双方が本に書くことに同意しているとき。日ごろのショット設計は監督と撮影監督のものです。

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