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登場人物:セリフから育つキャスト表と、自分で書く人物ファイル

最終更新 September 10, 2026 · 約11分で読めます

ひとことで言うと:脚本の登場人物がいまどこに住んでいるかの説明です。キャスト表は打ち込んだセリフから勝手に育ち、人物の設定はあなたが書く.mdファイルで、両者は名前で結びつきます。

墨潮 ―ぼくちょう― 脚本の第01話を「ボード」表示にしたところ。最初のシーンカードの下端がそのシーンの人物である。顧遂・沈硯・阿棠の三つは塗りのタグで、人物行から自動で拾ったもの。裴照だけ破線の枠になっていて、これは手で足したという意味だ——このシーンにセリフはないが、その場にいてほしい、というとき。末尾の「⚟ 人物」が追加のボタンで、各タグの × が取り消し。左のツリーに「登場人物」フォルダーがあるが、あれはあなたが書いた人物ファイルにすぎない。まるごと消してもこのタグは残る。名簿は脚本そのものから算出されるからである。

「人物設定」タブはなくなり、その仕事は二か所に分かれました

以前の脚本スタジオには「人物設定」タブがありました。人物の一覧、出演マトリクス、五種類の役割、四種類の範囲フィルター。これらは.scriptファイルには存在しません。旧・脚本スタジオの作品がまだ開けるなら、その「人物設定」タブも出演マトリクスも当時のままです。ただ、変換したときについてこないだけです。

あそこで起きていたのは、実は別々の二つの仕事です。4.0はそれを切り離しました。

人物設定(旧)

  • 先に登録しないと使えない人物の一覧
  • 役割・範囲・自分で足した項目は、そのデータの中に入っていた
  • 出演マトリクス

4.0

  • キャスト表:本の中の全.scriptの人物行から自動で出る。登録の手間はなし
  • 人物ファイル:あなたが書く.md。書きたいだけ書けます
  • 両者は名前で結びつきます

引っ越しただけの話ではありません。旧モデルでは「人物」は先に作るデータで、セリフを書く前に登録が必要でした(アプリが裏で勝手に作りもしました)。いまは脚本に打ち込んだ名前がそのまま人物です。「まだ登録していない人物」という状態は、存在しません。

キャスト表:打った人が、そのまま載ります

Slimaは本の中のすべての.scriptの人物行を読み、名前を一冊ぶんのキャスト表にまとめます。並び順はセリフの行数、同数なら出演シーン数。セリフを一行直せば、名前を一人足せば、その瞬間に一覧も変わります。突き合わせるべき二つ目の控えは、どこにもありません。

この一覧は四か所に顔を出します。

  1. 人物行を打つときの候補一覧。 このシーンにすでに出ている人が上、区切り線の下がそれ以外で、名前のうしろに「N 行 M シーン」が付きます。完全に一致するものがないときの最後の行は「新しい人物「阿棠」を作成」です。押しても名前が入力されるだけで、ファイルは作られません。どちらの段もセリフ行数の多い順で、うしろの数字は作品全体の集計です。このシーンの分ではありません。
  2. スラッシュのコマンド一覧(空行で/)。三つの組に分かれています。まず五種類の要素とそのショートカット(台湾式は演技指示がないので四種類)。次に手早い挿入——この作品でいちばん使っている人物五人と場所五つ。最後に「新しいシーン」と/note。場所を選ぶことがシーン見出しの変更にあたります。人物のほうの裏にあるのは同じキャスト表です。
  3. 構成パネル(Ctrl + Shift + O)。.scriptを開いているときはシーン / 登場人物 / 場所の三つのモードがあり、「登場人物」はその話のシーンを、出ている人ごとにまとめて見せます。
  4. 配役 → キャラクターの声。このボタンはプレビューに切り替えたときだけツールバーに出ます。人物ごとに読み上げの声を変えたくなるのも、もともとプレビューのときです。一覧はこれと同じものです。

このシーンに誰がいるか

.scriptのボード表示(ツールバーの「ボード」)は、ドラッグできるシーンカードの列です。カードには人物のチップが一列並んでいて、それがそのシーンの出演者です。

  • 塗りのチップは、そのシーンの本文から自動で見つけたものです。マウスを乗せると「このシーンの本文から自動検出(書くたびに更新されます)」と出ます。
  • 点線のチップは手で足したものです。本文には出てこないが、その場にはいる人(戸口で聞いている、眠っている、死んでいる)。「人物」ボタンで足します。
  • どのチップにも**×**が付いています。これは「一覧から外す」で、セリフには触りません。「この名前はこのシーンでは数えない」と記録するだけです。自動検出の勘違いはこれで直します。あとで手で足しなおせば、除外も解けます。

つまり一覧は「検出したもの ∪ 手で足したもの − 手で外したもの」。検出した側はいつも本文に従い、あなたが手で下した判断は、書き直しても古びません。

人物のチップに色のドットはありません。旧「人物設定」には人物ごとの色の項目がありましたが、脚本から出したキャスト表に、色を置く場所はありません。

人物ファイル:何を書く価値があるか

キャスト表が知っているのは、名前と行数とシーン数だけです。「この人は何を欲しがっていて、何が欠けているのか」を書き留めたくなったら、ファイルを作ります。登場人物/フォルダーを自分で作り、その上で右クリック →「新規ファイル」、名前はその人物の名前そのまま(沈硯.md)。見本の『墨潮 ―ぼくちょう― 脚本』には、このフォルダーが最初からあります。あの作品は小説版の資料棚をまるごと引き継いでいるので、登場人物/には八人ぶんのファイルが一人一つ入っていて、隣に場所/と世界観/も並びます。小説版の『墨潮 ―ぼくちょう―』も同じ八人です。

ファイル名が脚本の中の名前と一致すると、脚本のその名前に点線の下線が付き、Ctrl(macOSは⌘)+クリックでそのファイルが開きます。場所も同じ仕組みです。シーン見出しの場所の欄が、同じ名前の.mdにつながります。一致するファイルがなければ下線も付きません。押しても何も起きない死んだリンクは、はじめから作られません。

中身は、旧「人物設定」からいちばん持ち帰る価値のある部分です。あの項目立て自体が、よい脚本の問いでした。

書くこと なぜ
欲しいもの(外向きの目的) 本人が追いかけているつもりのもの。セリフはこれに奉仕します。
必要なもの(内側の欠け) ほんとうに足りていないもの。たいてい本人は言葉にできず、物語がそれと向き合わせます。
できることと欠点 主人公の欠点はたいてい「必要なもの」の根っこで、しくじる理由でもあります。
来歴 過去、家族、その人を今の姿にした一つの出来事。一度で書き上げなくてかまいません。
代表的なセリフ いちばんその人らしい数行。声を揺らさずに書くには、どんな形容詞よりこれが効きます。

小説版『墨潮 ―ぼくちょう―』の登場人物/沈硯.mdが、まさにこの形です。**欲求(Want)**は「流刑になった父のその後を突き止めること」、**必要(Need)**は「自分が字喚びだと認め、父の罪を代わりに詫びるのをやめること」。その下に外見、性格、欠点、能力、そして全12章の軌跡が並びます。

人物ファイルはただの.mdなので、frontmatterが効きます。見本の沈硯.mdにはaliases: [硯, 沈家の娘]と書いてあるので、脚本で「硯」と打っても同じファイルにつながります。詳しくは実体の追跡と詳細パネルで。

改名と削除は、前とは挙動が違います

改名は全体に波及しません。 旧「人物設定」で名前を変えると、wikilinkのようにセリフも一緒に書き換わりました。いまは名前がそのまま身元なので、一行直せば一行だけ直ります。本一冊ぶんの名前を入れ替えるなら検索と置換を使ってください。

削除も連鎖しません。 旧の人物削除は完全削除で、脚本側の参照も全部ほどいていました。人物ファイルはただのファイルです。ごみ箱に入れても(ごみ箱と復元)、脚本は一字も変わりません。ある人物をキャスト表から消す道は一つだけです。その人のセリフを脚本から取ることです。

「人物のテンプレート」には入り口がなくなりました。 自分で足した項目のひとそろいを別の人物に押し当てるためのもので、すでにある.characterファイルの中では今も動きます。ただ.characterファイルはもう新しく作れないので、実際に出会うことはありません。いまの人物ファイルは.mdですから、同じ構成を使い回すなら、気に入っているファイルを複製して書き換えます。

出演マトリクス:正直に言って、代わりはありません

旧の出演マトリクスは「人物 × 話数」の格子でした。主人公が第4話で消えていること、敵役が第3話まで出てこないことが、一目で分かる表です。.scriptファイルにこの格子はありません。 格子があるのは旧・脚本スタジオのほうで、昔の作品を開けば今も出ます。.scriptにあるのはその断片です。

  • 人物行の左にある虫めがね(「人物の情報を見る」)で開くカード。「N シーン · セリフ N 行」と出て、その下に話ごとの分布が棒で並びます。マトリクスの一行にいちばん近いものです。
  • セリフの行数で並んだ一冊ぶんのキャスト表。誰が背負っていて、誰が二行だけなのかが、順番から読めます。
  • 構成パネルの「登場人物」モード。ただしこれは一話の中で人物とシーンをまとめるもので、話をまたぎません。

あの格子がどうしても必要なら、いまは自分で持つしかありません。.beatsビートボードに一話一枚のファイルカードを置く、企画用の.mdに表を書く、といったところです。これは後退です。ここに書いたのは、存在しないタブを探して午後をつぶさないためです。

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