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ビートボードとは何か、いつ使うか

最終更新 September 9, 2026 · 約8分で読めます

この記事では、ビートボードが何からできているのか——幕、ビート、ファイルのカードという三つの層——と、構成メモ(.md)との違いを説明します。

『墨潮』のビートボード。第一幕(設定)・第二幕(対立)・第三幕(解決)が三列に並び、各ビートカードの下に対応する章のファイルと字数が付いています

何が解決するのか

第8章まで来たとき、手元には章のファイルが8つあり、どれもそれなりに書けています。足りないのは、作品全体の形を見られる場所です。見るには一つずつ開いて、頭のなかで並べ直すことになります。

ビートボード(.beats)がその場所です。予定と、実際に書けた分を同じ板の上に置きます。予定はビートのカード、書けた分はファイルツリーからドラッグしてきた章のカードです。第二幕にビートを6つ並べたのに書いたのは2章だけ、転換点が3つ同じ幕に詰まっている、中盤にカードが一枚もない——こうしたことは板の上では見えます。ファイルツリーでは見えません。

ビートボードはそれ自体がひとつのファイルです(拡張子は.beats)。開くとタブになります。サンプル作品『墨潮』では「メモ」フォルダーに「物語の骨組み.beats」として入っています。

板の上には三つの層があります

幕(列。名前は自分で付けます)
  ビートのカード(見出し+概要。まだ思いつきだけでもかまいません)
     ファイルのカード(章の.md)
     ファイルのカード(脚本の.script)
  ファイルのカード(ビートに入れず、幕に直接置いたもの)
幕未割り当て(幕がない、または幕を削除したあとのカード。これも一列です)
  • は列です。名前は自分で決めます。決まった三つが与えられるわけではありません。列の見出しには、その幕の「ビート何件、ファイル何件、何字」が出ます。
  • ビートのカードは予定です。見出しと一行の概要だけ。中身が空でもかまいません。思いついてまだ書いていない、という意味になります。
  • ファイルのカードは原稿です。左のファイルツリーからドラッグして置くと、その実ファイルを指します。カードに出る名前はつねにそのファイルの現在の名前なので、ツリーで名前を変えればカードの表示も変わります。

『墨潮』の板は3幕、ビートのカードが14枚、章のカードが12枚です。第二幕の「圧力の高まり」には章が2つ付いています(第08章 裴照、第09章 灯の下)。そのビートを書くのに2章かかったからです。

ビートのカードの端に出る小さな文字

ビートのカードには状態がひとつ出ます。板全体でいちばん役に立つ一マスです。

  • ファイルが付いている → そのビートの下にあるファイルの字数の合計。ビートを折りたたむと、ファイルの件数も一緒に出ます。
  • ファイルが付いていない未執筆

「予定したが書いていない」を別のやることリストで管理する必要はありません。『墨潮』の14枚のうち4枚が未執筆です。ためらい、サブプロット、内省、ラストシーン。前の3つは理由が概要に書かれています(独立した章にせず、章のあいだに畳んである)。最後の1つはまだそこまで書けていないからです。

ビートボード自体の字数はつねに0です。執筆の進みを水増ししません。カードに出る数字は、そのカードが指す章の字数です。

板に置けるのは章と脚本だけです

ツリーからドラッグしたとき、置けるのは次の2種類だけです。

  1. 原稿として印を付けたテキストファイル(.md
  2. 脚本のファイル(.script

登場人物、場所、参考資料、関係マップ、年表、世界地図は置けません。「章と脚本だけボードに置けます」と出ます。この板が測っているのは進みで、進みがあるのは原稿だけだからです。どのファイルが原稿になるのか、どう変えるのかは原稿と参考資料を見てください。

脚本のカードだけできることがもう一つあります。開くとシーンの一覧になります(1シーン1行)。「この話に何シーンあって、それぞれ何分か」を見るのに向いています。Slimaで脚本を書くも合わせてどうぞ。

構成メモ(.md)との違い

『墨潮』の「メモ」フォルダーには「全体の構成.md」と「物語の骨組み.beats」の両方が入っています。どちらも構成の話ですが、別のものです。

全体の構成(.mdの原稿)

  • 続きの文章。好きに書けます
  • 字数に入り、書き出しやEPUB/PDFにも入ります
  • AIベータリーダーに読ませられます
  • 「何を考えていたか」が見える

ビートボード(.beats

  • 幕とカード。ドラッグでき、実ファイルを付けられます
  • 字数はつねに0。書き出しにもAIベータリーダーにも入りません
  • どのビートが何字で、どのビートが0字かが見える
  • 「どこまで来たか」が見える

競合しないので、両方持っている人も多いです。考えを書くのは構成メモ、進みを見るのは板、という分け方です。

もう一つ覚えておきたい分担があります。板はファイルツリーの並び順を持ちません。板の上で第09章を第08章の前に動かしても、ツリーの並びは動きません。逆も同じです。板の並びは物語の順、ツリーの並びはファイルの順で、これは意図して分けてあります。

AIは読めます。直せもしますが、採用するのはあなたです

AIとの対話はこの板を読めます。幕、それぞれのビートの見出しと概要、どのカードがどのファイルを指しているか、その字数まで。ですから「第二幕がゆるいですか」とそのまま聞けます。言い直した板ではなく、あなたの本物の板を見ています。

構成を直すこともできます。幕を足す、ビートを足す・動かす、概要を書き替える、順を入れ替える。ただし勝手には動きません。頼むのはあなたで、返ってきたものは板の上で確認待ちになります。件数を示すバッジが出るので、ひとつずつ採用見送るを選びます。まとめてよければ「このファイルの提案をすべて採用」もあります。押すまで板のデータは変わりません。

もう一つの守りがあります。AIはファイルのカードに一切触れません。ビートを動かすことも削除することもできますが、あなたが置いた章や脚本のカードは操作の対象外です。ビートを削除しても、中のファイルのカードは同じ幕に単独カードとして残ります。消えませんし、ファイルが削除されることもありません。詳しくはAIの変更を確認するへ。

スマートフォンでは

編集できます。ドラッグだけがありません。ビートのカードとファイルのカードは同じ入れ物のなかで▲▼で動かし、幕をまたぐ移動やビートへの出し入れはカードの「移動…」から行います。見出しや概要の編集は下から出るシートで行います。

使わないほうがよい場面

  • 1つの章をいくつかに切り分けたいだけのとき。それは章のなかの見出しです。板を開かずに見出しパネルを使ってください。
  • 出来事がいつ起きたかを記録したいとき。それは年表の仕事です。ビートボードは順を扱い、日付は扱いません。
  • 3万字の中編のとき。3幕6ビートが本より長くなりかねません。板が役に立つのは「見えなかったものが見えるようになる」からで、作品が小さいうちはもともと見えています。

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